あらすじ
超AIが都市管理を行い、仮想現実も当たり前になった時代。〈カフェ・ド・アモール〉で〈アモールの巫女〉の異名を持つ天才少女・相島ひなみと食事をしていた探偵助手・羽賀椚は、突然、過去が思い出せなくなり、記憶喪失を疑う。するとひなみや周囲の人々が光の中に消え、超AIのコビーから、ここはとある実験のためのVRの個別ワールドであると知らされる。
外部と交信もできず、感情を得たようなコビーの様子すらおかしいことに疑問を持ちながら、ワールド内にいた他の四名のうち三名と出会う。一名は身動きが取れず、椚と研究員の湯川祥太、脱出に焦る女性・檀涼子、感情を失った少女マリー・アンノウンの四名が説明を聞く。コビーと実験関係者である湯川によると、VRで〈他人の思考を体験する機能〉の実験を行うために一組のモニターが選ばれ、エキストラも数十人が参加していたという。それぞれにその場にいる他の誰かのものらしい記憶があることを確認し、椚の予想から、コビーに意識があることを想定していなかったことが原因で事故が起き、その瞬間に交信していたエキストラも巻き込まれたのではないかと推測できた。
原因がわかると一行は公園にいる最後のひとりのもとへ向かう。そこには安全上の理由で凍結されたというひなみのアバターがあった。モニター参加者がひなみと椚であり、椚はひなみにより思考を体験されていた。実験終了で事態は終わると予想し、凍結していたひなみが解放される。
曖昧だった記憶も戻りすべて解決したかに思えたが、マリーを送っていこうという檀をひなみが阻止する。彼女は、檀がマリーの家族の関係者で、マリーを連れ去ろうとしていると判断した。檀はマリーの手を放し、事情聴取を受けることになる。
皆が現実世界に戻りつつある中、ひなみは自分が椚を実験に誘って彼を知ろうとしたように、椚もひなみを知ろうとしていることを確認するのだった。