あらすじ

兄の墜落事故を目の前で見た相沢蒼は、それ以来、空を見上げることができなくなっていた。工場で単調な日々を送る彼の前に現れたのは、白石空良という少女だった。彼女は小さな飛行場で働き、「怖いままでいいから、空に触れてみなよ」と蒼を誘う。空に関わることを拒みながらも、蒼は次第にその場所へ足を運ぶようになる。 やがて二人は、それぞれ過去に飛行機事故で大切な人を失っていたことを知る。空良は「まだ終わっていない」と言い、事故の真相を確かめるために空へ向かおうとするが、蒼はそれを止めようとする。そんな中、二人の前に“落ちきっていない空”と、事故の瞬間を繰り返す不可解な現象が現れるようになる。 それは、見届けられなかった過去が現実に滲み出したものだった。恐怖に抗いながらも、蒼と空良はその落下の中へ踏み込み、目を逸らさず「最後まで見る」ことを選ぶ。やがて二人は、それぞれの喪失と向き合い、止まっていた時間を終わらせていく。 空はもう、逃げるためのものではない。痛みと記憶を抱えたまま、それでも前に進むための場所へと変わっていく。

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カクヨム
カクヨム2026/04/10
  • 現在の作品空の底で、僕らは