あらすじ
異世界の不条理な空に、福岡の意地が産声を上げる――。
レアメタルは枯渇、防衛の要であるF-15J『イーグル』は共食い整備の限界に達していた。物理法則を嘲笑う『高速レッドワイバーン』の猛威を前に、もはや地球の航空工学は敗北を認めるしかないのか?
否。北九州・八幡の鉄鋼マンと、胃薬を啜る学究の徒、そして狂気のハッカーが手を組んだ時、絶望の空に「鋼の奇跡」が鋳造される。
マジック粒子を情報の楔として鉄の原子に叩き込む、前代未聞の因果クエンチ工法。そこから誕生したのが、純福岡産エンジン『F100-YAHATA』。そして、その心臓部に組み込まれた禁断の過給器、人呼んで――『武田スペシャル(仮)』。
それは、特定の周波数で因果律を爆縮させ、質量と推力の概念をマッハの彼方へ叩き込む「悪魔の臓器」だった。
「先生、悪いが義理立てはここまでだ。武田スペシャル、起動!!」
開発責任者の悲鳴と退職金を燃料に、マッハ3のプラズマ推力が赤き空を蹂躙する。
これは、ファンタジーの理不尽を、泥臭い労働と始末書の山、そして八幡碧鋼の質量で強引にねじ伏せる、男たちの(そして社畜の魔女の)執念の記録である。
福岡異世界転移史・外伝――鋼の産声。
その轟音を、心に刻め。