あらすじ
京急日ノ出町駅を降り、大岡川沿いのプロムナードへ歩く38歳の『私』。
桜が満開になる頃、お花見の定番は京急日ノ出町から少し歩いた大岡川沿いプロムナード。
夜店が立ち並ぶそこで、『私たち』は缶ビールで乾杯しながら夜桜を楽しんだ。
10年連れ添い、5年同棲した彼。一生この人と生きていくのだと、変わらない未来を疑いの余地もなく過ごしたあの日の幸せ。
『私』はその残像を追い求めて、雑多な喧騒の中に身を投じる。
『好きな人ができた。』
半年前の別れの言葉はひどく唐突で、あっけなく『彼』は去ってしまった。
満開の桜はこんなに綺麗なのに、一人で過ごす景色は『違和感』しか与えてくれない。
『私』だけが取り残されて、季節が進んでいく。今日、『私』は何を求めて大岡川に来たのかー。
『私』を慰めてくれない優しい夜桜を振り返り、『私』は心の中で呟く。
『全部、散ってしまえばいいのに。』
一人で帰宅するかつての二人のすみか。
『私』は部屋で一人、飲み直しながら明日への微かな希望をたどり、マウスをクリックする。
これは誰かの夜の1ページ。