あらすじ
勇者アレンは、激しい怒りに震えていた。
数々の試練を乗り越え、ついに伝説の聖剣エクスカリバーを引き抜いたというのに、国王から渡された魔王討伐の最終兵器は、実家の裏山で切ってきた「限界まで花粉を蓄えた極太のスギの枝」だったからだ。
「魔王ボラギノール、花粉に弱いらしいから。今年の飛散量2.5倍だし、それでいけるいける」
適当すぎる王の命を受け、アレンは相棒の魔法使いエリスと共に魔王城の最深部へ向かう。
道中、振動で花粉が落ちないよう、まるでバースデーケーキを運ぶかのような異常な緊張感と中腰姿勢を強いられながら、ついに玉座の間へ到達した二人。
待ち受けるのは、身長3メートルの恐怖の象徴・魔王ボラギノール。
しかし、彼は重度の花粉症だった……!
無駄に厨二病っぽく「暗黒の森より出でし黄金の厄災《クリプトメリア・ジャポニカ》」と名付けられたただのスギの枝と、花粉を飛散させるためだけに放たれる強風魔法「春一番」。
最悪のコンボが玉座の間を黄色く染め上げた時、魔王城に悲劇(と大量の鼻水)が舞い散る!
「滅びの業火」を放とうと、うっかり深呼吸をしてしまった魔王の運命は!?
そして、なぜか魔王討伐後に丸メガネをかけて「……勝ったな」と呟く勇者の思惑とは!?
聖剣も大魔法も一切必要としない。ただの重度のアレルギー反応だけで世界が救われる、超次元(?)のワンオペ出落ちギャグファンタジー、堂々開幕!