あらすじ
異世界に召喚された中年会社員・真壁忠義に与えられたのは、
戦闘スキルでも、魔法でもなく、“太鼓持ちスキル”だった。
相手が欲しがる言葉を瞬時に見抜き、
上司を気分よくさせ、場を回し、なぜか出世していく真壁。
しかし、その出世は居心地の良さとは程遠く、
待遇が上がるたびに胃薬と睡眠薬の量だけが増えていく。
やがて魔王軍から命じられたのは、勇者パーティへの潜入。
行商人として近づいた真壁は、持ち前の太鼓持ちで勇者一行の懐に入り込み、
気づけば彼らの連携すら底上げしてしまう。
だが、限界まで溜め込んだストレスは、酒の席で爆発する。
褒めて回していたはずの言葉は毒へと変わり、
勇者パーティは綻び、崩れ、ついには壊滅へ。
そして大戦果の果てに真壁を待っていたのは、
魔王軍No.4への昇進と、
「契約履行とは、お前が魔王になることだ」という最悪の真実だった。
これは、
剣でも魔法でもなく、
おべっかだけで世界を壊してしまった中年男の、
苦くてろくでもない出世譚。