あらすじ
人に合わせて人格を変えれば、人間関係は上手くいく。
相手の話し方を真似て、価値観に軽く同意して、笑うタイミングを合わせる。それだけで、誰とでも問題なく付き合える。
そうして俺――九条暁斗(くじょうあきと)は、ずっと「相手に合わせた人格」を演じて生きてきた。
だがある日、その偽装を一人の女子に見破られる。
クラスでいつも一人、本を読んでいる無口な少女――霧島紗月(きひしまさつき)。
彼女は俺の声や目線、わずかな違和感だけで言い当てた。
「九条くん、今の嘘」
そして彼女は静かに問いかける。
「九条くんは、何人いるの?」
誰にでもなれる少年と、誰にも流されない少女。
偽装で出来た青春は、観察者によって暴かれていく。
これは、本当の自分を忘れた少年の――
少し歪んだ青春の物語。