あらすじ
心臓の隣に宿る魂の器官「マブイ」。そのエネルギーを精錬し、鋼鉄の獣を操る「からくり闘犬」が、日常と非日常の境界を埋め尽くした近未来。
元自衛官の警備犬ハンドラー・野瀬貴広(35歳)は、かつて引き起こした凄惨な暴走事故の傷を抱え、今は広島の片隅で静かにコイーバの煙を燻らせていた。傍らにいるのは、愛くるしいアメリカン・コッカー・スパニエルのアスカと、パグのレミ。戦いとは無縁に見える二頭との穏やかな日々――それが彼にとっての、新たな「一領具足」の形だった。
だが、雨の夜に迷い込んだ廃棄機「シロ」と、血に染まったリードが平和の終焉を告げる。時を同じくして届いた、かつての戦友からの悲痛な叫び。「娘の犬から、マブイコアだけが消えた」。
消えた魂の行方。マブイを持たぬ「持たざる者」たちが企む、命の簒奪。
野瀬は再び牙を研ぐ。稀少なる「錬」属性を解放し、愛犬の皮を内側から食い破るように、二頭の相棒に鋼鉄の装甲と重火器を纏わせる。
「コイーバの煙は、正直だ。……お前たちの罪も、な」
これは、命を精錬する男が、魂の尊厳を取り戻すために裏社会の闘技場へと足を踏み入れる、過酷な闘争の記録。
水前寺鯉太郎のカクヨム版からくりスポーツシリーズ第2弾