あらすじ

二柱の神が争い、滅んだ。残ったのは骸だけだった。 北の神の死体の上に遺の世界が広がり、南の神の骸の上に魔の世界が成った。人間と魔族は何千年もその上で生まれ、争い、死んできた。誰も神の名前を知らない。誰も争いの理由を知らない。ただ、骸の上に生きている。それだけが続いてきた。 葛城朔は、辺境の集落で育った十七歳だ。三年前、父は旅に出て帰らなかった。妹の澄奈と二人で、乾いた草原の朝を繰り返してきた。特別な力もなく、特別な才もなく、ただ止まらない性質だけを持って、平凡な毎日の中にいた。 ある夜、集落が燃えた。黒い鎧の男たちが来て、澄奈を連れていった。 逃げ場も武器もない中で、朔は廃遺構の台座に刺さっていた剣を引き抜いた。何百年も誰も抜けなかった剣が、その夜だけ、朔の手で動いた。台座に刻まれた文字は言っていた——「血脈の者を待つ」と。 剣を抜いた瞬間から、世界が変わった。朔には変わったという認識さえなかった。ただ、澄奈がいなかった。だから行くしかなかった。それだけだった。 心臓地区で出会った枢機院の諜報員・司堂鳴は、十八歳の白髪の女だった。心臓部との契約で先読みの力を得た彼女は、世界情報をデータとして感知する。表情を動かさず、全てを損得の計算で処理し、答えを出してから動く。そういう人間だった。 彼女が朔に同行を申し出たのは、枢機院の命令があったからだ。表向きは。 本当の理由を、鳴はまだ誰にも話していない。 二人は南へ向かう。墜樹海を抜け、境界地帯を越え、——目的の魔界へと

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カクヨム
カクヨム2026/04/09
  • 現在の作品骸の花——魔の世界へ行くため、魔の剣を取る——