あらすじ

光を歩む者には、決して見えない影がある。 一九三三年、秋。 川合村の碧き川のほとりで、一人の少年の心が死んだ。名は、戸田繁雄。 眩い陽だまりの中で「正義」や「夢」を語らう者たちを、少年は泥の底から見上げていた。 これは、本編『この手があなたに触れるまで』の裏側で、誰にも知られず、誰にも望まれず、それでも確かに生きた一匹の「狼」の物語。 姉を奪われ、名前を捨て、蛇の穴に身を投じた彼が、戦火と絶望の時代をいかにして駆け抜けたのか。 非道の限りを尽くした怪物の胸の奥に、なぜたった一筋の光が残り続けたのか。 「刮目せよ。お前たちが歩くその道の白さは、俺たちの血で贖(あがな)ったものだ」 闇の中に消えた男の、最初で最後の咆哮。 純文学の筆致で描く、もう一つの昭和史。

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カクヨム2026/04/09
  • 現在の作品優等生諸君へ~狼の咆哮~