あらすじ
【あらすじ】※物語の核心まで触れています。
とある理由から街をさまよっていた大学生のコウは、路地裏で見つけた謎の扉をくぐり、異世界へ迷い込んだ。
そこは荒廃した遺跡で、もはや扉が開くことはなかった。
人間と魔族が共存する都市セントラルで保護されたコウは、評議会議員ローウェルと出会い、自らをミステリ作家だと名乗る。ちょうどセントラルでは、厳重に封じられた宝物庫から《不戦の聖杯》が消えた密室事件が発生しており、コウはローウェルの秘書フィーネと共に調査を命じられる。
容疑者は宝物庫管理局員のゼフだったが、コウは現場の状況と魔導錠の仕組みに違和感を覚える。
やがて、犯人が作業中に本物の魔導錠を偽物とすり替え、後から自分の錠で宝物庫に侵入したうえで、最後に本物で施錠し直したというトリックを見抜く。さらにコウは、犯人の狙いが宝物庫管理局の責任者であり、人間と魔族のハーフである魔人エミリオを貶めることにあると推理する。
コウはフィーネや王立守備隊の協力を得て罠を張り、真犯人を追い詰める。犯人はエミリオの部下ガルドだった。彼はエミリオへの嫉妬と魔族への偏見から犯行に及んだのだ。聖杯は無事に取り戻され、ゼフの疑いも晴れる。
そして事件の翌日、ローウェルから呼び出されたコウとフィーネは、評議会直属の新組織「偵務課」に配属を命じられる。
自由を手にしたコウは、改めて遺跡を訪れるも、扉が開くことはなかった。
そこで彼は、自分が本当はミステリ作家ではなく、何者にもなれなかった人間だったことをフィーネに打ち明ける。コウが街をさまよっていた理由は、ミステリ小説の賞の最終選考落選のショックからだった。
しかしフィーネは、どこの誰であろうと関係ない、あなたは事件を解決したと告げる。何者でもなかったコウは、その言葉と差し出された手を受け、この世界で何者かになることを選ぶ。