あらすじ
盲目でありながら、音・匂い・気配――そして“殺意”すらも感じ取る騎士、セイレン・アークシュタイン。
かつて仲間の裏切りにより視力を失った彼は、誰も信じず、ただ任務のためだけに剣を振るう存在となっていた。
そんな彼が出会ったのは、ヴァルディエル王国の皇太子アルヴェリオ。
幾度も命を狙われ、誰も信じることができずに育った孤独な青年だった。
「見えないのに見抜く騎士」と
「見えているのに何も見えない皇太子」。
正反対の二人は主従として共に過ごす中で、次第に互いに依存し、唯一無二の存在へと変わっていく。
だが、セイレンは“殺意”には誰よりも敏感である一方で、向けられる“優しさ”や“愛情”には気づくことができない。
そしてアルヴェリオもまた、その想いを言葉にすることができずにいた。
宮廷に渦巻く陰謀、再び忍び寄る裏切りの影。
過去に囚われた騎士と、孤独を抱えた皇太子の関係は、やがて大きく揺らいでいく。
——その瞳は何も映さない。
それでも彼は、ただ一人の“存在”だけを確かに知っている。
これは、光を知らない騎士が、たった一人の声に出会い、
初めて“光”を手に入れるまでの物語。