あらすじ

小国ルクセンランド王国北部――名門グレーヴェンマッハ伯爵家の庭園で、ひとりの青年がしゃがみ込んでいた。 「うん……よく育ってる」 アクセス=グレーヴェンマッハ。穏やかな緑髪の伯爵令息だが、剣や政治には見向きもせず、ただ薬草を愛していた。小さな芽に触れ、彼は静かに微笑む。 「この回復草があれば、きっと多くの人が助かる」 だが、その平穏は唐突に壊される。 「兄上、また土いじりですか?」 弟ネトルドの嘲笑。その隣には、かつての婚約者アルビーがいた。 「私はネトルド様と婚約しましたの。あなたでは頼りないもの」 冷たい宣告に、アクセスは言葉を失う。 その夜、父ワルソック伯爵は無情にも告げた。 「お前には失望した。勘当だ。出ていけ」 継母の嘲笑の中、すべては奪われた。 数日後――。 わずかな荷物と共に、アクセスは国を追われる。だが彼の胸にあったのは絶望ではなかった。 (これで自由に薬草を育てられる) 辿り着いたのは隣国スペイラ帝国、モナコラの町。そこで出会った薬草園の女性サリーに拾われ、彼の新たな人生が始まる。 やがて彼の育てる薬草は“奇跡”と呼ばれ、帝都にまで名を轟かせた。 一方その頃――。 故郷では魔物被害が広がり、薬草不足により領民は苦しんでいた。 「前の若様なら助けてくれたのに……!」 重傷を負ったネトルドは後遺症を残し、伯爵家は急速に没落していく。 青空の下。 アクセスは今日も畑を耕し、穏やかに笑う。 「いい天気だな」 追放された青年は今、誰よりも自由で――そして幸せだった。

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小説を読もう2026/03/19
  • 現在の作品弟に婚約者を奪われ追放された薬草好きの伯爵令息、帝国の薬草園で幸せなスローライフを送る!俺がいなくなった領地は薬草不足で崩壊しました(ノД`)シクシク