あらすじ
「花しか咲かせられない令嬢に、王妃は務まらない」
婚約破棄を告げられたその日、フローラが手にしていたのは 母の形見の園芸鋏だけだった。
攻撃魔法こそが力の証とされる王国で、 花を咲かせるだけの魔法は六年間笑われ続けた。 父にも「家の恥」と呼ばれた娘が送られた先は、 誰も訪れない辺境の枯れた聖地。
けれどフローラが荒野の土を掴んだとき、 指先は別のことを告げていた。 この土はまだ死んでいない。
荒れ果てた大地に花を咲かせ、 枯れた土地を蘇らせていくフローラの傍らには、 聖地でたった一人、古い書物を読み続けていた神官がいる。 彼だけが知っている。 この魔法の本当の名前を。
一方、フローラが去った王都では、 原因不明の不作が広がり始めていた。 花が枯れ、穀物が実らず、 聖女の炎をもってしても大地は応えない。
辺境で花を咲かせる追放令嬢の噂は、 やがて王都にも届く。