あらすじ
人間の血肉を”喰って”生きる化け物の青年・ドゥーエはノルスの町で子供を襲ったのを見咎められ、自警団に追われていた。ドゥーエは逃げ込んだエフォロスの森で辛くも彼らを撃退するが、彼らによって負わされた傷が元で倒れてしまう。翌朝、森に住まう少女・シュリによって、ドゥーエは助けられる。シュリは意識のないドゥーエを自分の家へと連れ帰り、手当てをする。夕方に目覚めたドゥーエと言葉を交わしたシュリは、”人喰い”という化け物であるにも関わらず、彼が存外に普通であることに拍子抜けする。そして、ドゥーエの傷が塞がるまでという期限付きで二人の同居生活が始まる。シュリと暮らし始めてしばらくが経ち、ドゥーエは彼女の元を去ることを決める。しかし、彼女と過ごす最後の夜、寝付けずにいたドゥーエはシュリが悪夢にうなされて泣いていることに気づく。シュリの口から、彼女の両親が過去に”人喰い”の女に食い殺されているという事実をドゥーエは知らされる。辛そうに泣きじゃくる彼女があまりに哀れで頼りなくて、ドゥーエは彼女を一人にしないためにもシュリの元に留まり続けることを決断する。
シュリとドゥーエは変わりゆきつつある互いへの気持ちから目を逸らしつつも、普通の日々を重ねていった。こんな日々がいつまでも続けばいいと願う一方で、”人喰い”であるドゥーエは”食事”を断たれ続けていることによって、体調に異変をきたしつつあった。
ある日の未明、己の限界を察したドゥーエはひっそりとシュリの元を去る。シュリのことを好きであるからこその決断だった。シュリの元を出奔したドゥーエは、街道で二人組の旅人に遭遇し、獲物として見定める。ドゥーエがいなくなっていることに気づいたシュリが後を追ってきて、彼を庇うように旅人たちとの間に割って入る。家に戻った後も、あくまでシュリの元を去ろうとするドゥーエと、一緒にいたいシュリの間で口論となってしまう。口論の末に不貞寝したシュリは、翌日の未明、ドゥーエと少しでも一緒にいる時間を引き延ばすべく、彼に喰わせるために自身の左腕を切り落とす。
二人はようやくお互いを愛する想いを通じ合わせたが、シュリは腕の傷が原因で寝込んでしまう。シュリとドゥーエは終わりが近づくのを感じながら、双方とも衰弱していった。しかし、シュリが死に瀕していることに気づいたドゥーエは、彼女が望んでいないことを知りながらも無理を押して医者を呼びにノルスへと向かう。しかし、医者が必要だという彼の言を信じる者はおらず、ドゥーエはシュリの元へと逃げ帰ることになる。ドゥーエがシュリの元に帰ると、彼女は今まさにこの世を去ろうしているところだった。自分を喰って生きて欲しいとドゥーエに告げ、彼女はその生を終えた。シュリの願いを叶えたい気持ちと彼女を喰ってしまいたくないという思いの間で板挟みになったドゥーエが選んだのは……?