あらすじ
鬼神の血を引く退屈上皇・貴仁。
夜の都で魑魅魍魎を斬り捨て、退屈しのぎに怪異を狩る日々――のはずだった。
ある夜、闇の中で拾ったのは、星屑のような黒髪を揺らす“姫君”。
袿に長袴、誰もが見惚れる美貌。
――ただし頭には、ぴんと尖った大神(おおかみ)の耳。しかも男。名は薫。
「そなたは私が守る」
「……私も、貴仁様をお守りしたい」
風を操り、穢れを祓う異能の姫。
その隣に立ったとき、退屈しか知らなかった鬼神の心が、初めて揺らぐ。
だが都では、怪異が連鎖し始めていた。
噂は人を狂わせ、穢れは増幅し――
まるで“誰かが意図して都を壊している”かのように。
そして目覚める、百年の怨念。
帝の血を引きながら、すべてを奪われた男の鬼が、静かに牙を剥く。
鬼神の血は暴れ、
大神の祈りがそれを鎮める。
人ならざるふたりの縁は、禁忌か、それとも――救いか。
剣で斬る。祈りで鎮める。
そしてふたりで、都を守る。
退屈上皇×大神耳の姫君(※男)
夫夫で挑む、平安あやかし譚――開幕。