あらすじ
公爵令嬢イザリエ・フォンティーヌは、卒業舞踏会の夜、王太子セルジュ・アストレアから大勢の前で婚約破棄を告げられる。隣にいたのは、可憐で儚げな新しい婚約者候補メリザ・コルネイユ。
けれどイザリエは泣き崩れなかった。
静かに婚約破棄を受け入れ、ただひとこと告げる。
――では今後、フォンティーヌ公爵家からの支援はすべて停止いたします。
その瞬間から、王家は少しずつ綻び始める。夜会の失敗、乱れる帳簿、崩れていく信用。これまで当然のように回っていたものは、すべてイザリエが陰で支えていたものだった。
一方、婚約者という役目を失ったはずのイザリエは、辺境伯ラウル・ディグレイスと出会い、自分が“誰かに選ばれるための存在”ではなく、“自分で未来を選べる人間”なのだと知っていく。
今さら復縁を願われても、もう遅い。
捨てられたのではない。
もう必要のないものを、こちらが手放しただけ。