あらすじ
早朝から泥にまみれ、誰にも気づかれない仕事を続ける造園土木会社の社員A。
同僚のBと軽口を叩きながら働く日々の中で、理不尽なクレームや世間の「底辺」というレッテルを受け流して生きている。
ある日、何気なく目にした「この仕事は底辺だ」という言葉。
笑い飛ばそうとするBとは裏腹に、Aの中にわずかな引っかかりが残る。
しかしその日の仕事終わり、自分たちが整えた場所を何も知らずに通り過ぎていく人々の姿を見たとき、Aは気づく。
この仕事は、誰かの生活の“当たり前”を支えているのだと。
「底辺」と呼ばれる場所にいるからこそ、支えられるものがある。
そう理解したAは、缶ビールを手にいつものように笑う。
その笑いは、ほんの少しだけ誇りを含んでいた。