あらすじ
紛争地帯での交渉中、爆発に巻き込まれて死んだ――はずだった。
地政学を専門とし、数々の紛争を停戦に導いてきた交渉人・八洲は、異世界に転移する。そこで女神から与えられたのは、たった一つの能力――スマホにインストールされた「催眠アプリ」だった。
そのアプリは、対象を強制的に変性意識状態へと落とし、認識・感情・行動、さらには“その人物にとっての現実”すら書き換えることができる。
剣も魔法も使えない。だが――交渉ならできる。
八田は魔王軍を「敵」としてではなく、「構造」として捉えた。
資源、利害、宗教、情報――すべてを分析し、分断し、再配置する。
戦わずして崩壊させる。
それが、彼の戦い方だった。
やがて彼は気づく。
この力は、単なる精神操作ではない。
「現実とは何か」という問いそのものに干渉する“変数”なのだと。
個人の認識、組織の意思、国家の構造。
操作できる変数は、段階的に拡張されていく。
そして――
魔王軍崩壊の先に待っていたのは、無限の未来。
そこでは人類と人工超知能が、「現実の定義権」を巡って争っていた。
交渉は、まだ終わっていない。
これは、戦争を終わらせ続けた一人の交渉人が、
ついに“現実そのもの”を交渉する物語。