あらすじ
侯爵令嬢セレフィーナ・アシュクロフトは、王立学園の中庭で確信した。
自分はこれから、“悪役令嬢”にされるのだと。
第一王子ルシアンは守る側。
平民出身の編入生ミレイアは守られる側。
なら、その物語を完成させるためには、最後に責められる“悪役”が必要になる。
しかもセレフィーナには前世の記憶があった。
前世で舞台制作会社の進行管理をしていた彼女にはわかる。
この空気は危ない。
誰かを焼いて、拍手で終える舞台の匂いがする。
卒業舞踏会で断罪されるくらいなら、最初から舞台に立たなければいい。
そう判断したセレフィーナは、侯爵領への静養を名目に、王都を去る。
すると、彼女が黙って“悪役”を引き受けてくれる前提で回っていた王都は、少しずつ段取りを失い始めた。
茶会も、学園も、王子の周囲も、神殿の思惑さえも。
消えた主役を探すように揺れ始める中、セレフィーナは領地でようやく、自分の名前で息をする。
これは、悪役令嬢にされる前に舞台から降りた侯爵令嬢が、
誰かの脚本ではなく、自分の人生を選び直す物語。