あらすじ
公共施設の古びたソファで、親友の「谷田春」が死んだはずの友人「櫻井」の話を始める。
しかし、春の顔はいつの間にか、ピンク色の不気味な着ぐるみに変わっていた——。
事故で入院生活を送る「僕」の日常は、夢と現実が溶け合う境界線の上にある。
かつて天才と呼ばれ、若くしてこの世を去った作家・櫻井。
彼が遺した未完の小説には、僕たちが共有した「奇妙な街」の記憶が綴られていた。
「呪いを解く言葉を教えてほしい」
着ぐるみを脱がない友人たちは、僕が櫻井から「最後の言葉」を託されたと信じて疑わない。
いちごミルクが溢れる部屋、降り注ぐ生花、そして消えたはずの灯油の匂い。
断片的な記憶を辿るたび、世界は色鮮やかに狂い始める。
果たして、僕が忘れてしまったのは、櫻井の最期の言葉か。それとも、自分自身の正体か。
現実を侵食する「物語」の終焉を探す、美しくも残酷な幻想ミステリー。