あらすじ
「世界を救った。だから、世界に忘れられた」
勇者パーティーの全滅を「なかったこと」に書き換えた代償は、自分の存在そのものだった。名前も、功績も、友との思い出も——すべて、この世界から消えた。
残ったのは、光を失った両目と、世界の根幹に触れる指先だけ。
視力と存在の記録を失った少年ノアは、それでも世界中に散らばった「星の綻び」を調律する旅を続ける。杖も詠唱も持たず、ただ指先で世界を撫でるように。暴れる竜を鎮め、枯れた泉を甦らせ、空に消えない虹を架けて——誰にも名前を告げず、静かに去る。
一方、世界を救った英雄たちは、平和の裏でひとつの疑問を抱え始めていた。 「俺たちは、大切な誰かを——忘れていないか?」
切なくて、温かくて、少しだけ泣ける。 これは、世界に忘れられた少年が、もう一度世界に覚えられていく物語。