あらすじ
幼い頃から、ずっと隣にいた。
平民出身の魔道具師見習いである私と、
名門貴族の跡取りである彼。
身分の差を理由に、
私は一度も「好き」だと言えなかった。
やがて彼は、政略結婚の相手を選ばれ、
王都の大聖堂で結婚式を挙げることになる。
招待状を手にした私は、悩んだ末に式へ向かった。
祝福するためではない。
この恋を、きちんと終わらせるために。
結婚式の日。
幸せそうに微笑む彼に、私は嘘をつく。
「おめでとうございます。
あなたのこと……ずっと、兄のように思っていました」
それは、彼を解放するための嘘であり、
自分の心を殺すための嘘だった。
――けれど、その嘘を、彼は見抜いていた。
これは、
身分と沈黙に縛られた恋が、
結婚式の日に、ようやく本当の言葉を取り戻す物語。