あらすじ
海戦の勝敗は、砲撃だけで決まるわけではない。
沈みかけた艦を「沈ませない」戦いがある。
ダメコン。ダメージコントロールの略である。
魔導技術が使われる海。
老朽化した軽魔導巡艦《蒼嵐》は、幾度もの戦闘で船体を裂かれ、何度も沈みかけてきた艦だった。
その艦に技術顧問として乗り込んだ男、堂島。
彼の仕事は戦うことではない。
撃たれた艦を直すことだ。
浸水を止め、継ぎ目を締め、外板を押さえ、艦を浮かせ続ける。
寡黙な班長・大沼、整備士の汐、機関担当の三島、砲術士の山下。
そして艦と奇妙に結びついた少女、鋼花。
砲撃で船体が裂け、海が流れ込む。
それでも応急工作班は艦内を走り、蒼嵐を沈ませない。
やがて奇妙な現象が起き始める。
堂島たちが修理した場所で、魔導回路が微かに光るのだ。
理由は誰にもわからない。
だが一つだけ確かなことがある。
蒼嵐は、まだ浮いている。
後に誰かがそう呼んだという。
沈みかけた艦を何度も浮かせた男を――
「ダメコンの神様」と。