あらすじ
豪雨の古寺、横たわる相棒・レイの棺。
若き数学者・**慎一(シンイチ)**の前に現れたのは、父を冤罪で死に追いやり、今また親友の死を隠蔽しようとする刑事・佐藤だった。
絶望の淵で慎一が導き出したのは、血も涙もない「復讐の方程式」。
しかし、その復讐劇はやがて、世界を裏から操る巨大投資銀行「ヘリオス」と、全知のAI「クロノス・アイ」を巻き込んだ、壮大な知的脱獄劇へと変貌していく。
慎一の武器は、冷徹な数理ロジックだけではない。
かつて父・慎二郎が説いたのは、古の知恵――儒教の精神だった。
「不義にして富み且つ貴きは、我に於いて浮雲の如し」
(正義に反して得た富や身分など、空に浮かぶ雲のように儚いものだ)
論語の教えを胸に、慎一は「利」のみを追う敵を、「義」の力で解体していく。
そして辿り着いた、父の遺した謎の数式。
質量ゼロの空間で、目に見えない「虚数(愛)」を掛け合わせたとき、世界は無限大の光に包まれる。
死んだはずの父、伝説のマジシャン、そして宿敵の刑事。
すべての変数が一つに重なったとき、驚愕のマジックが完成する――。