あらすじ
「君は強いから、大丈夫だろ」——五年間尽くした婚約者から、電話一本で婚約破棄を告げられた水無月澪。雨の中逃げ込んだのは、取り壊し予定の古書店『雨音堂』だった。そこで澪は、亡き母が最後に読んでくれた絶版の童話集と再会する。実は澪には、本に触れるとその本にまつわる人の想いが視える不思議な力があった。幼い頃に気味悪がられ、ずっと隠してきたその力を、無愛想な店主・雨宮蒼一郎は否定しなかった。「その力があれば、届けられる本がある」——澪は雨音堂で働き始め、本に宿る想いを読み取りながら、持ち主を探し出す「奇跡の店員」と呼ばれるようになっていく。誰かの都合に合わせて生きてきた「便利な女」はもういない。雨の日だけ奇跡が起きる古書店で、澪は自分だけの人生を歩み始める。これは、婚約破棄から始まる再生と、本が繋ぐ優しい奇跡の物語。