あらすじ
スーパーで買い物中の、とある男。ふいにびくっと肩を跳ね上げ、足を止めた。彼は上半身だけをゆっくりと動かし、周囲を見回した。通路の奥、棚の陰へと落ち着きなく視線を巡らせ、ぴたりと動きを止めた。
かと思えば、次の瞬間、今度は素早く頭を横に振った。
――そんなことあるわけないだろ。何考えてるんだ……!
胸いっぱいに溜め込んでいた空気を、一気に吐き出した。そのとき、横を通り過ぎた老女が怪訝そうな顔でこちらを見ていることに気づいた。
彼は慌てて顔を逸らし、頭を掻きながら背中を丸め、足早にその場を離れた。