あらすじ
地方都市で印刷会社の営業として働く篠崎恒一は、特別な不満もない代わりに、確かな手応えもない日々を送っていた。仕事は続いている。生活も回っている。だが、自分の人生がどこへ向かっているのかは、はっきりしないままだった。
そんなある日、取引先の写真館で、恒一は一枚の手書きの地図を渡される。それは高校時代の同級生・相馬亮介が残したもので、「来たならそれで十分だ」という短い言葉だけが添えられていた。
半ば気まぐれのようにその場所を訪れた恒一は、そこがかつて「相馬製作所」という町工場の跡地であることを知る。さらに調べていくうちに、相馬が工場の家に生まれ、その経営が行き詰まっていた過去が少しずつ浮かび上がってくる。