あらすじ

名神高速を走る10トントラック。 その運転席に座るのは、空手五段・柔道三段・合気道三段・剣道二段、武道一筋三十数年の男——水堂敦、五十一歳。 巻き込み事故の衝撃とともに、彼の意識は途絶えた。 目覚めた時、そこは草と泥の匂いが漂う、見知らぬ草原だった。手は若く、体は軽い。 現れたステータス画面には「アッシュ、二十歳」という名前と、見慣れない数々のスキルが並んでいた。 ——転移? なるほど。で、どうする? 動揺はない。パニックもない。ただ静かに、五十一年分の経験を脳の中に並べ直して、次の一手を考える男がいるだけだ。 武道の修練で培った人体の知識は、この世界でも医術として通用する。 トラックドライバーとして磨いた段取りと判断力は、どんな世界でも最強の武器になる。 二十歳の肉体に宿った老練の魂は、傷ついた村人を癒し、魔物の群れを退け、やがて世界の歪みそのものへと向かっていく。 派手な勇者譚ではない。 しかし確かに、最強の物語だ。

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カクヨム2026/03/18
  • 現在の作品異界の轍(わだち)