あらすじ
千年以上を生きるハイエルフ、リゼルカ・エル=アルシアは、神聖王国の宮廷魔導研究者だった。
ある日、暗殺された王子を「救命処置」で蘇生させたところ、「ネクロマンシー」と断罪されて国外追放になった。
本人は全く気にしていない。むしろ嬉しそうだった。
「解剖し放題じゃない」
助手のカイには、嫌な予感しかなかった。
千年間、王宮に閉じ込められていた研究狂のエルフは、外の世界を「巨大な生体標本」と見ている。魔物、魔法、生命の仕組み、果ては国家まで。出会うものすべてを観察し、解剖し、理論に変えていく。
倫理観はない。常識もない。あるのは果てしない好奇心だけ。
「世界は解剖するためにある」
カイは今日も振り回される。チェンソーを持つ先生の隣で、器具を並べながら、心の中でツッコミを入れながら。
それでも気づいている。この旅が、世界の見え方を少しずつ変えていくことに。
魔物とは何か。魔法とは何か。生命とは何か。
千年エルフの研究は、やがて世界そのものを解剖し始める。