あらすじ
ある日突然、弟が家族写真から消えた。
写真だけではない。学校の記録も、家族の記憶も、最初から弟など存在しなかったことになっていた。弟のことを覚えているのは、姉の私ひとりだけ。
弟を探して夜の町をさまよううち、私は地図に載らない古びた“相談窓口”へたどり着く。そこは、失くしたものを扱う不思議な窓口だった。財布や鍵だけではなく、人さえも。
そこで告げられたのは、弟は世界の辻褄から外れ、ある場所に留め置かれているという事実。そして弟を取り戻す方法は、誰かひとりが代わりにそこへ残ることだけだった。
弟か、自分か。
選ばされるのは、いないはずの姉だった。