あらすじ

ハハハ。そんなに怖がるコタアないよ。マアもっとコッチへ来たまえ。サアサア、一杯。安い酒だがね。……どうだい、美味いもんだろう。僕も昨日初めて飲んだのだがね、イヤこの値段でこの味なら文句無しだね。ウンウン。では僕も失敬して……。エエト何の話だっけ。  ……そうそう。そうだった。どうして君を酒に誘ったかという話だったね。ナアニ、大した理由じゃないよ。君は○○大学に通うK君だろう。……ウンウンやっぱりそうだったか。……ハハハ、ソラア分かるよ。君は気付いていないのかもしれないが、この界隈じゃ君はちょっとした有名人だからね。  ……何でって、君はあのヴァイオリンに非常な興味を示しているそうじゃないか。この町は君のトコの大学に支えられているようなものだからね。自然、町の住民も音楽に詳しくなってくる。チョット音楽をカジった者なら、あのヴァイオリンのことも、それにまつわるオソロシイ呪詛《のろい》も、至極当然に耳に入る。その中にあってあのヴァイオリンの音が聴いてみたいなんて言う奴ァ、君くらいのもんだよ。ハハハ。  ……ウン。イヤ実を言うと僕はそのヴァイオリンの事を知っているんだ。……マアマア落ち着いて。ほら、もう一杯。……どうだい。少しは落ち着いてきたかい。ハハハ、イヤァ失敬失敬。言い方が悪かったね。知っているといっても、人伝《ひとづて》に聞いた話なんだ。マアそんなに露骨にガッカリしなさんな。それでも君が思っている、あるいは知っている以上の事は話してあげられると思うから。  ……ハハハ、現金な奴だなァ君は。さっきも言ったけど、あくまでも人から聞いた話だからね。どんな尾ビレや背ビレが付いてるか分からないけど、それでもいいかい。……ウンウン。君ならそう言うと思っていたよ。それじゃあ話してあげよう……。

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カクヨム
カクヨム2019/04/06
  • 現在の作品ツィゴイネルワイゼン