あらすじ
♑️第4回真白賞に参加しています。
https://kakuyomu.jp/user_events/2912051595544559407
※実は第5回山羊座文学賞向けに書いていたのですが、今回のお題「AXIS」と相性がよさそうだったので、第4回真白賞向けに調整しました。なので、字数が多いのです。
あらすじ
『自分で決めること』に疲れ果て、情報社会の海をクラゲのように漂う男・水母悠人(29歳)。
意思欠落症とも言える極度の決断恐怖に陥った彼が、AIの導きでたどり着いたのは、山奥の限界集落【鳴神村】だった。
錆びた鳥居と、そびえ立つ巨大な通信アンテナ。
管理官の斧田から提示されたのは、たった三千円で生涯の衣食住を保証するという「特別永住プラン」。
膨大な利用規約を一切読まず、自らの人生の決定権をシステムに丸投げして「同意する」をタップした水母の首元に、微かな音と共に小さな異物が撃ち込まれる。
それこそが、村を統括する独自の完全管理ネットワーク、
『AXIS』
――Administrative eXecution & Isolation System(管理的執行および隔離システム)。
全てがオートメーション化され、何も考える必要がない村は、水母にとって究極の飼育箱(テラリウム)だった。
しかし、彼のもとに「ここは異常だ。助けてくれ」と脱出を乞う女性観光客・明日香が現れたことで、不快な同調圧力に巻き込まれることになる。
自由を渇望する女と、決断を拒絶する無脊椎な男。
二人が深夜の闇を縫って村の境界線(ジオフェンス)へ辿り着いた時、彼女たちはAXISに隠された「物理的」な絶対法則を目の当たりにする。
規約違反。境界超過。通信切断。
それに伴い執行されるのは、所有資産の――『物理的な強制損壊(廃棄処理)』。
一切の言い訳を許さない残酷な死のルールを突きつけられた時。
絶望に染まるどころか、水母は自らの首に埋め込まれた死の装置(AXIS)に触れ、初めて己の肉体を真っ直ぐに支える「鋼鉄の背骨《アクシス》」を手に入れたと、狂喜の笑い声を上げた。
これは、他者の決めたシステムによってしか生きられない男が、自発的に究極の服従へと堕ちていく、冷徹な依存と孤独の記録である。