あらすじ

「この人、変わってるな」と思ったのは、初めてのデートだった。

待ち合わせは午後二時。
彼、コウイチは三時半に来た。

「ごめん!途中で本屋に入ったら時間忘れてた!」

普通なら帰っていたと思う。
でも私はなぜか笑ってしまった。

「もうコーヒー三杯飲んだよ」

「え、そんなに?」

本当に悪びれてない顔だった。
それが、私たちの始まりだった。

コウイチは、優しい人だった。

電車でおばあちゃんが立っていたら、すぐに席を譲る。
迷子の子どもを見たら、一時間でも一緒に探す。

でも、
・財布をよくなくす
・家の鍵を忘れる
・予定を忘れる

最初は「天然な人」で済んでいた。

結婚した理由は簡単。
この人といると楽しかったから。

でも結婚して、現実が始まった。
・ゴミの日を忘れる
・電気代を払い忘れる
・娘の保育園の書類をなくす

 私は何度も怒った。

「なんで毎回なの!」

 コウイチは困った顔で言う。

「ごめん…」

「ごめんじゃなくて!」

本当は分かっていた。
わざとじゃない。
でも生活は待ってくれない。

娘の入学式。
コウイチは来なかった。

スマホも出ない。
私は一人で式に出た。

帰宅すると、彼は家にいた。

「…どうしたの?」

「仕事でトラブルがあって…」

彼は今にも泣き出しそうな顔をして言った。

「忘れてたんだ…」

私はその瞬間、爆発した。

「もういい!」

「家族より仕事なの!?」

「違うんだ!」

「全部そればっかり!」

コウイチは黙った。
そして、しずかに言った。

「俺…普通のことができないんだ」

つづく

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アルファポリス
アルファポリス2026/03/17
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