あらすじ
優しさはあるが責任感に欠ける和茂の言動は、次第に生活に影を落とし、弥生の心は少しずつ追い詰められていく。
やがて弥生は、自分でも抑えきれない感情の揺れに苦しむようになる。怒りや不安、焦燥が入り混じり、「普通でいられない自分」に戸惑いながらも、ただ一つの支えである我が子・輪心のために、なんとか日々を繋ぎ止めていた。
しかし、和茂の“断れない性格”はついに決定的な問題を引き起こす。ギャンブルに溺れ、金を借り続ける男・隆史に、輪心のために貯めていた大切な金を三十万円も貸してしまったのだ。何の疑いもなく「頼られたから」と言い切る和茂に、弥生の中で何かが完全に崩れ落ちる。
価値観の埋めようのない溝。怒り、失望、そしてどうしようもない不安。感情は限界を超え、弥生はついに家を飛び出す。
辿り着いたのは、与論島。
そこには、広い空と静かな時間、そして輪心と、知人・葵の穏やかな暮らしがあった。
東京とはまるで別世界のその場所で、弥生はようやく立ち止まる。怒りの奥にあった疲れと傷を見つめながら、自分はどう生きるのか、何を守りたいのかを問い直し始める。
これは、“デキナイ男”に振り回され、“病気の女”として苦しみながらも、それでも前に進もうとする一人の女の再生の物語である。