あらすじ
「傷は塞がった。なのに、鉛を飲んだように身体が重い……」
伝説の英雄も、至高の聖女も、この世界の誰もがその「不調」に苦しんでいた。
高位回復魔法(ハイヒール)は、傷を塞ぐことはできても、体内に溜まった「魔力の残滓」までは取り除けない。
人々に「呪い」や「怠け癖」と蔑まれるその症状――
現代から転移してきた鍼灸師の少年・レンは、それを**『魔力のコリ』**と呼んだ。
「力を抜け。今、お前の身体の『淀み』をバイパスさせてやる」
細い針一本で、滞った魔力の経絡(けいらく)を射抜き、堰き止まった魔力を爆発的に循環させる。
魔法医が「一生治らない」と匙を投げた不治の病を、レンは「ただの循環不全だ」と笑い飛ばし、針一本でトトノわせていく。
悶絶するほどの「響き」の後に訪れる、羽が生えたような軽快感(カタルシス)。
一度その「トトノイ」を知ってしまった者は、もうレンの指先なしではいられない。
これは、魔力回路のメンテナンスを疎かにした異世界で、一人の治療師が世界の理を書き換えていく物語。