あらすじ
「お前の泉は枯れ果てた。この国に、魔力なき聖女の居場所はない」
誰よりも人々のために祈り続けてきた聖女エリスは、魔力枯渇を理由に、雨降る境界の森へと捨てられた。
泥に塗れ、死を待つ彼女の前に現れたのは、漆黒の外套を纏った隣国の魔王、ゼノス。
彼は冷徹な声で告げる。
「お前を監視するために、私の城へ連れて行く。恩義などと勘違いするな」
――けれど。
差し出されたスープは、なぜか彼女の好物の香草が漂い。
与えられた部屋は、故郷の離宮よりも美しく。
震える彼女を「監視」する彼の瞳は、射抜くような熱を孕んで、片時も彼女を離さない。
これは、言葉を失った魔王が、かつて自分を救ってくれた少女を、
「契約」という鎖で繋ぎ止め、自らの命を削ってまで愛し抜こうとする、
切実で、あまりに甘美な、献身の物語。