あらすじ
「君からの手紙はもう読まない」——たった二行で、三年間の文通は終わった。
桐島深雪には、言葉の「色」が見える力があった。詩人・鷹宮蒼真の作品に宿る孤独の薄紫と、誰かに届きたいという祈りの銀色。その色彩に惹かれ、深雪は手紙を書き続けた。毎週届く返事は、両親の離婚以来、誰にも心を開けなかった彼女にとって唯一の光だった。
しかし突然の絶縁宣言。送れなかった手紙たちは引き出しの奥で眠り続ける。
小さな出版社で校正者として働く深雪は、他人の言葉を生き返らせることはできても、自分の想いを届けることができない。そんな彼女が知らなかった真実——詩人が筆を折った本当の理由とは。
そして時は流れ、届かなかった手紙たちが静かに動き出す。
言葉を紡ぐすべての人に贈る、切なくも温かい再生の物語。あなたの言葉は、誰かに届いていますか?