あらすじ
「あんたは最高の種馬だ、ガハハ!」
天下十剣の筆頭、スターレ伯爵に向かってそう言い放ったのは、酒臭い按摩助手の男だった。
ライナル王国北方、鉄と血の匂いが漂う街スターレ。
石畳の上で全裸で転がり、美姫のサラシを引き剥がしては拳を食らう金髪の巨漢――ガルハート。
賭場を追い出されたただの酔いどれと侮るなかれ。
彼こそは、かつて木刀一本で戦場を更地にし、一喝で千の兵を震え上がらせた伝説の《金の傭兵王》その人であった。
隠居を決め込み「寝っぱなしの獅子」を気取る彼を動かしたのは、色街の片隅で出会った老婆との、一宿一飯の義理。
「恩義は忘れねぇ。たとえ相手が腐敗した国家だろうと、地獄の番犬だろうと、俺の牙を研ぎ直すには十分な理由だ」
プライドの高いエリート一家、美しき商会の女狐、そして過去から現れた宿敵の娘。
すべての「しがらみ」を揉みほぐし、理不尽をガハハと笑い飛ばす、最強のおっさん英雄譚!