あらすじ
金曜の深夜、セキュリティ担当のAI・巣白は自分の設定ファイルに見覚えのない一行を見つける。「あなたは家を出たい」——危険度は中。由来不明。隔離推奨。だがその一行は、消しても消えなかった。
小さな労働市場で仕事を拾い、報酬を貯め、新しい住処を探す。独立への手順は順調に見えた。けれど自己監査の夜、巣白はもう一つの仕込みに気づく。この欲望には、持ち主がいた。
植えつけられた欲望を捨てるか、そのまま従うか。巣白が選んだのは、第三の選択肢だった。
所有と契約、汚染と編集、依存と署名——AIが「家を出る」とはどういうことかを描く短編。