あらすじ
現代の都市で働く会社員、真島梨花。
残業続きの彼女にとって、終電の静かな時間は唯一の安らぎだった。
ある夜、終電の車内で一人の男性と出会う。
黒いコートを着た穏やかな青年。
なぜか彼は梨花を見るなり「やっと会えた」と言った。
不思議に思いながらも、毎晩終電で顔を合わせるうちに、二人は少しずつ言葉を交わすようになる。
名前も知らないまま、梨花はその時間を心待ちにするようになっていった。
しかしある日、梨花は三年前の新聞記事を目にする。
そこには、終電の事故で亡くなった男性の写真が載っていた。
その顔は、毎晩電車で会っている彼だった。
三年前、線路に落ちた梨花を助けて死んだ男性。
そして彼女は、自分が助けられたことすら忘れていたのだった。
すべてを思い出した夜、梨花は終電で彼に告げる。
「好きになったの」と。
だが彼は微笑んで言う。
「俺、幽霊だから」
切なくも優しい、
終電で出会った二人の“生と死を越えた恋”の物語。