あらすじ
小学生の頃、夏休みのたびに母方の祖父の家がある山あいの集落へ預けられていた私。
そこには「西の沼を覗くな」「呼ばれても返事をするな」という、子どもにだけ厳しく言い聞かせられる決まりがあった。
その沼に出るとされるのが、“沼けだら”。人の形をして近づき、呼ばれた者を連れていくのだという。
ただの田舎の言い伝えだと思っていた私は、同い年の少年に誘われ、禁じられた沼へ足を踏み入れてしまう。
そこで見たものは、濡れた白い服の少女と、村の大人たちが決して口にしたがらない「ある家」の異様な気配だった。
これは、怪異なのか。
それとも人間のほうが、ずっと恐ろしいのか。
因習の残る田舎を舞台に、怪異とヒトコワがじわじわ侵食してくる和風洒落怖。