あらすじ
もくじ
第一章 信仰の谷
第二章「霊峰の誓い」
第三章「剣と祈り」
第四章「村の決断」
第五章「神子の目覚め」
第六章「決戦の時」
「はじめに」
東北の山深く、静寂と祈りに包まれた村に育った少年・千舟。
まもなく成人を迎える彼は、僧侶である道明のもと、仏と武士の教えを胸に剣を振るう日々を送っていた。
だが、遠き都では征夷大将軍の軍が進軍を開始し、中央政権と蝦夷のあいだに緊張が高まっていく。
そんな折、村に現れたのは神を信じず、ただ剣と自由を信じる謎の少年――おふじ。
その瞳には、まだ誰も知らぬ「富士」の名が宿っていた。
失われた母との記憶、隠された血のつながり、そして信仰と自由を巡る決断。
この物語は、中央と地方のはざまで揺れる人々の「もうひとつの日本史」です。
仏と神、剣と祈り、母と子。
静かに、そして確かに、時代は変わり始めていました――。
『霊峰の影』
登場人物紹介
■ 千舟(せんしゅう)
仏道に励む少年。自分の出自に迷いながらも、信仰と剣を携え、運命に立ち向かう。
■ 喜久(きく)
将軍の血を引く兄。名声と権力を追い求め、大和に忠誠を誓う。
■ 萩(はぎ)
千舟と喜久の母。かつて将軍と恋仲だったが、今は都を離れ信仰の地に生きる。
■ 道明(どうみょう)
武士から僧侶へ転じた男。千舟を育て、最道を師と仰ぐ。
■ 最道(さいどう)
天台山の僧であり、道明の導師。深い知恵と信仰を持つ。
■ おふじ
神に疑問を抱く少年。剣を好み、霊力に目覚めていく。心の奥にある葛藤と自由への憧れが、千舟との出会いで動き出す。
■ アテルイ(あてるい)
蝦夷の頭領。民を守るため大和に抗う。力と慈しみを併せ持つ英雄。
■ モレ(もれ)
アテルイの副将。冷静沈着な軍略家。時に厳しく、時に深い信頼でアテルイを支える。
■ 酒村路路(さかむらまろろ)
征夷大将軍。道明のかつての主君であり、権威と信仰を掌中に収めようとする野望を秘めている。