あらすじ
100年前、空を突き破って現れた「塔」は、人類にシステムという恩恵と、ゲートという災厄を同時に与えた。先代たちが命を切り刻んで辿り着いたのは、全100階のうち、わずか15階。そこから先の階段は、1世紀もの間、固く閉ざされたままだ。
人類の進化が止まって100年。B級ハンターの**俊宇(26)は、今日も親友である友(28)**の家にいた。中国とカナダのハーフらしいがっしりした骨格を揺らし、キッチンで困り果てた親友に声をかける。
「……友、本当に出すのか? これ」
A級ハンターとして名を馳せ、3人の弟を育てる「しっかり者」の友。しかし、彼は決定的な場面でどこか抜けていた。末っ子の海(14)の誕生日に用意したのは、なぜかよりによって海が嫌いな「カエルの形をしたケーキ」。注文を間違えたのだ。
案の定、食卓についた海(151cm)は、ちっとも嬉しくなさそうな顔でケーキを見つめている。
「兄ちゃん……僕、カエル嫌いだって言ったよね……?」
100年攻略されていない15階のボスよりも、今、このリビングに流れる空気の方がよほど重い。俊宇は親友の肩を叩きつつ、この気まずい沈黙をどう打破すべきか頭を悩ませる。
だが、そんな些細で、けれど切実な日常の裏側で、100年間止まっていた「システム」の歯車が静かに回り始めていた。