あらすじ

隠し事は、いつも台所の湯気に溶けていく。 福岡・天神の法律事務所で働く大野律子は、凛とした佇まいで「男前」と称される精鋭弁護士。しかし、彼女には周囲に隠している秘密がある。それは、恋人の小山内愛と同棲していること、そして、将来への不安から「二人の食費を月五万円に抑える」というストイックな家計管理に心血を注いでいることだ。 柳橋連合市場や地元のスーパーで、閉店間際の「半額」や「地物」の魚を買い込み、定時退社で愛のために腕を振るう律子。しかし、博多の街が持つ「食」への誘惑と、ロマンティストな愛の「たまには贅沢したい」という願い、そしてレズビアン・カップルとしてこの街で生きていく葛藤が、静かな食卓に波紋を広げていく。 食費を七万円に上げたとき、二人の関係はどう変わるのか。福岡の四季折々の味覚と共に綴る、切実で温かな絆の物語。

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小説を読もう2026/03/16
  • 現在の作品五万七千円の安息香(あんそくこう)