あらすじ
巨大産業文明が崩壊した世界。アルマは教団を作り出し、教団は労働者を支配する社会を作り出した。
そうして過酷な労働と番号で人を管理する体制が築かれた。そこにはもうアルマの思想はなかった。秩序を絶対視する者たちが、人間の尊厳を踏みにじることで社会の安定を維持していた。
人々は疑問を抱きながらも従うしかなかった。
しかしそこにディエゴという青年が現れる。一連の事件と殉教をきっかけに、労働者の間に「フィリウス」という名の信仰が広がり始める。奇跡は一度も起きない。それでも人々は苦難の意味を求め、噂と祈りの言葉を語り合う。迫害と弾圧の中で信仰は地下に広がり、やがて奴隷階級の精神的支柱となっていく。
やがて王国政府はこのフィリウス信仰を抑えきれないと悟り、秩序維持のために黙認する。祈りは制度化され、教義が整えられ、フィリウス教は国家の宗教となった。だがその言葉を最初に唱えた人々の名は、いつしか忘れられていく。
その後に生まれた世界とは——。
奇蹟は起こらない。神は現れない。
それでも物語は生まれる。
壮大な思想譚を背景として、主人公たちの軌跡を追う。