あらすじ
高校二年生の春。
雨宮恒一は、クラス替え前夜に寝ぼけて送った一通のメッセージによって、学校でも有名な“高嶺の花”白瀬透花との距離を一気に狂わされる。
『もし二年で同じクラスになれたら、それって運命ってことでいい?』
しかも最悪なことに、二人は本当に同じクラスになってしまった。
誤送信をきっかけに朝の昇降口で修羅場を迎えた二人は、噂好きなクラスメイトたちの目をごまかすため、しばらくのあいだ“付き合う前の段階”を装うという奇妙な取り決めを結ぶことに。
恋人ではない。
だけど他人でもない。
一緒に帰り、名前で呼び合い、少しずつお互いの素顔を知っていく。
完璧で近寄りがたいと思われていた透花は、実は甘いものに真剣で、不器用で、案外意地っ張りだった。
一方で恒一もまた、ただの平凡男子ではなく、言葉にするのが下手なだけで、思っている以上に優しくて面倒見がいい。
これは、たった一通の誤送信から始まった、
“まだ恋ではないはず”の関係が、じわじわと日常を侵食していく物語。
勘違い。噂。すれ違い。
そして、本人たちだけがまだちゃんと気づいていない、ほんの少しの特別。
――春はだいたい、ろくでもない勘違いから始まる。
でもたぶん、恋もまた、そんなものだ。