あらすじ
CERNで、ありえないことが起きた。
衝突事象解析用のエンジンが、巨大なSAT問題を一秒で解いてしまったのだ。
その瞬間から、暗号は死に、国家の秘密は揺らぎ、金融は崩れはじめる。
世界は「量子コンピュータの脅威」だと思い込もうとするが、事態はそんな生やさしいものではなかった。
気づけばベテルギウスの明滅は止まり、星座はずれ、銀河群の形まで変わりはじめる。
人類が触れてしまったのは、どこか遠い宇宙に存在する「解が先にある世界」だったのだ。
すべてが解ける世界に飲み込まれれば、飢えも病もエネルギー不足も消えるかもしれない。
けれどその代わり、人類は“未解決”を失う。
だから人類は決める。
証明不能性、未決定性、不完全性――これまで欠陥だと思われていたものを武器に変え、宇宙そのものへ反撃することを。
P=NPから始まる、暗号崩壊と星座の変形と別宇宙への踏み込みを描く、数学ハードSF。