あらすじ
「その穢れた義眼を持つ者が、神殿に居座ることは許されない」——大神官の冷酷な宣告により、リヒトは十五年間仕えた神殿を追放された。
彼の右目に宿るのは『廃棄された神の義眼』。神格を剥奪された忘却神ヴォイドの欠片であり、不吉と穢れの象徴として蔑まれてきた。
だが、誰も知らない。
その義眼が、あらゆる呪詛や瘴気を見抜く力を持つことを。リヒトが下働きとして床を拭きながら、三百七十二回も結界の綻びを修復してきたことを。彼こそが、十五年間この神殿を密かに守り続けてきた真の守護者だったことを。
追放の理由は、偽りの『神眼』を持つ令嬢の登場。王弟の後ろ盾を得た彼女の瞳が偽物だと見抜いても、下働きの言葉など誰も信じない。
リヒトは静かに神殿を去る。抵抗も、恨み言もなく。
ただ一つ、確信していた。——俺がいなくなれば、三日で結界に穴が開く。一ヶ月で神殿は瘴気に呑まれる、と。
そして彼を待っていたのは、闇商人の美女、凄腕の元騎士、天才魔道具師との出会い。『終焉の銀眼』として覚醒した力は、世界を揺るがす災厄すら終わらせる。
穢れと蔑まれた義眼が、希望の光となる時——追放された下働きの、真の伝説が始まる。