あらすじ
かつて社交界を恐怖に陥れた悪徳令嬢・金剛寺麗華。更生して教師となった彼女が赴任したのは、広島市内にある、かつては荒廃し、今は「見えない闇」を抱える中学校。彼女が受け持つのは、学内一の問題児が集まる「3年B組」だった。
教室に入るなり、麗華を待ち受けていたのは現代の広島の中学生たち。
「お姉ちゃん、どこのもん? 派手な格好しとるね」と冷やかす生徒に対し、麗華は扇子を机に叩きつけ、優雅な広島弁を織り交ぜて一喝する。
「おだまりなさい。……ほう、広島の言葉は荒っぽいと聞いていましたが、あなたのそれはただの『甘え』ですわ。私に凄みたいのなら、死を覚悟した目でおやりなさいな」
麗華は、広島特有の「熱い地域性」を背景に、SNSでの村八分や、家庭の事情で夢を諦めた生徒たちの心に踏み込んでいく。時には、かつての権力行使を彷彿とさせる強引な手法で教育委員会や過保護な親を黙らせ、時には、自分が一度「追放」された時の孤独を語り、生徒の手を引く。
卒業式。舞台は瀬戸内海を望む校舎。
「いいですか、あなたたち。広島の人間なら、踏まれても立ち上がる麦になりなさい。……いえ、私の教え子なら、踏みつけてきた連中を跪かせるほどの立派な大輪の薔薇になりなさいな!」
麗華の贈る言葉は、広島の空に高く響き渡る。